ネットが遅いのでIPv6 IPoE + DS-Liteにした

TL;DR

BB.exciteコネクト(IPoE接続プラン)1DS-Lite対応ルータで月額700円(税抜)でインターネットが速くなったのでフレッツ光が遅い人は試してみてください。

IPv4 PPPoEが遅い

本格的に在宅勤務が始まったが、自宅のネットが遅すぎて業務に支障をきたしていた。

どうもIPv4 PPPoEが詰まっているようだ。PPPoEはネットワーク終端装置という部分で輻輳しやすいらしい。 いまはIPv6 IPoEというものが利用可能で、これはGWR(GateWay Router)を介してインターネットに出ていくいわばLANそのものであり高速だとか2。 "PPPoE IPoE" とかでググるとそれっぽいポンチ絵が出てくるので見てみてください。

IPv6 IPoEを契約する

電話したり契約書を郵送したりしなくてもIPoEを試せるプロバイダはBB.exciteINTERLINKを見つけた。他にもあると思うので自分だけのプロバイダを見つけるんじゃ。

PPPoEのように接続認証が利用できないのでどうするのかと思ったら、フレッツ光ネクストが開通したときに郵送されてくる「お客さまID」と「アクセスキー」をプロバイダに通知することで直接接続できるようだ。的外れな例えかもしれないけど、CATVインターネット接続はWAN側インタフェースに直接IPが割り当てられるのでプロバイダにMACアドレスを通知すると思うんだけど、あんな感じのイメージで捉えた。 で、郵送でしか送られてこない書類なんてもちろん失くしてしまったので116116に電話して再度郵送してもらった。今度はちゃんとスキャンしてDropboxに保存しておいた。

無事お客さまIDとアクセスキーが届いたらプロバイダでIPoE契約をする。1時間〜半日ほどで使えるようになるようだ。待っている間も開通後も既存のPPPoE接続に一切の影響がないので気軽に申し込むことが可能。

DS-Lite (IPv4 over IPv6)でIPv4も利用する

IPoEが開通した時点でIPv6でサービス提供しているサービスはすべて利用できる。YouTubeNetflixIPv6で利用できるし凄く速い。 ただ、IPv4でしか利用できないサービスは一切利用できない。ここでDS-Liteという技術を利用して、IPv6パケットはそのままIPv6インターネットへ、IPv4パケットはIPv6カプセル化されてAFTRと呼ばれる出口でNAT変換されてIPv4インターネットへ出ていくようにすることができる。つまりきちんと設定さえしてしまえば、利用側はIPv6だのIPv4だの意識することなくインターネットに接続できるわけだ。これはGeekなページのDS-Liteの仕組みが図もあってわかりやすかった。

DS-Liteを利用するには対応ルータが必要となる。プロバイダのIPoE契約時に必ず対応ルータの一覧があると思うけど、手持ちのRTX1100/RTX1200ともにDS-LiteのためのIPIPトンネル設定が可能だったので追加コストゼロだった。まだ持ってなくてYAMAHAルータの設定に抵抗がない方は、RTX1100は中古で3000円ほど、RTX1200は中古で10000円ほどで手に入ったりするのでオススメ(ホンマか?)

ということで非常に速くなりました!朝から晩まで、これまで特に使い物にならなかった夜9-12時ぐらいのピークタイムも含めて上下とも安定して70Mbps以上出ます3

RTX1100/RTX1200でDS-Liteの設定

以下、RTX1100/RTX1200での設定例。いずれでも動作確認した。非常に簡単。

[RTX1200] # show config
# RTX1200 Rev.10.01.78 (Wed Nov 13 16:29:42 2019)
# Memory 128Mbytes, 3LAN, 1BRI
# main:  RTX1200 ver=b0
# Reporting Date: Apr 7 23:35:59 2020
administrator password *
login user xxxx *
security class 2 off off off
console character ascii
console prompt "[RTX1200] "
ip route default gateway tunnel 1
ipv6 prefix 1 ra-prefix@lan2::/64
ip lan1 address 192.168.11.1/24
ipv6 lan1 address ra-prefix@lan2::1/64
ipv6 lan1 rtadv send 1 o_flag=on
ipv6 lan1 dhcp service server
ipv6 lan2 secure filter in 1010 1011 1012 2000
ipv6 lan2 secure filter out 3000 dynamic 100 101 102 103 104 105 106
ipv6 lan2 dhcp service client ir=on
tunnel select 1
 tunnel name DS-Lite
 tunnel encapsulation ipip
 tunnel endpoint address 2404:8e00::feed:100
 tunnel enable 1
ipv6 filter 1010 pass * * icmp6 * *
ipv6 filter 1011 pass * * tcp * ident
ipv6 filter 1012 pass * * udp * 546
ipv6 filter 2000 reject * * * * *
ipv6 filter 3000 pass * * * * *
ipv6 filter dynamic 100 * * ftp
ipv6 filter dynamic 101 * * domain
ipv6 filter dynamic 102 * * www
ipv6 filter dynamic 103 * * smtp
ipv6 filter dynamic 104 * * pop3
ipv6 filter dynamic 105 * * tcp
ipv6 filter dynamic 106 * * udp
telnetd service off
dhcp service server
dhcp server rfc2131 compliant except remain-silent
dhcp scope 1 192.168.11.100-192.168.11.199/24 expire 12:00 maxexpire 12:00
dns server dhcp lan2
sshd service on
sshd host lan1
sshd host key generate *

ほとんどそのままフレッツ光ネクスト インターネット(IPv6 IPoE)接続 : コマンド設定DS-Lite(transix)でインターネット接続 : コマンド設定あたりから持ってきただけ。例によって、これは情報提供のみを目的としているので自己責任でご利用ください。

「AFTRのアドレス」という部分はインターリンクのFAQが参考になるけど、NTT東日本エリアかNTT西日本エリアかによって接続先が違う。このIPv6アドレスからInternet Multifeedのtransixを経由してIPv4に出ていく。診断くんとかで確かめるとtransixのsharedなIPv4アドレスに変換されていることが確認できる。

AFTRのアドレスは2つ掲載されているが、RTX1100とDS-Liteで高速化(ひかり電話なし)というサイトでkeepaliveを使って8.8.8.8へのpingの反応をみてもう片方にフォールバックする方法が書かれていて、これはオシャレだと思った。まあ片方だけでも特段困ることはないでしょう。

拠点間VPN自宅サーバをどうするか

で、今更気付いたけど、IPoE + DS-LiteではこれまでのようにネットボランチDNS4を利用できない。

これまではPPPoE接続してWAN側にIPv4グローバルIPを割り当てるppインタフェースをnetvolante-dnsでホスト名に紐付けることで名前解決していた。このホスト名をCNAMEレコードでエイリアスし、ルータの内側にあるホストにStatic NATでパケットを向けてやると、あたかも固定IPの自宅サーバのようなことが安価に実現できていたのだ。

ところが前述の通り、DS-LiteではtransixのNAT経由でIPv4インターネットに接続するので、サーバとしてIPv4の接続を受け入れるのが不可能になる。素晴らしいことに、ネットボランチDNS自体はすでにIPv6対応をしているが、利用できるのはRTX1210等の一部ルータのみに限られる。手持ちのRTX1100/RTX1200とも非対象機種となっている。誠に残念だ…

あいや、IPoEだけではなくてPPPoE契約も残して、IPoE + DS-LiteしつつPPPoE接続もして要するにこれまと全く同じ方法でネットボランチDNSを利用することは可能だ。ただ、自宅サーバの目的のため"だけ"にPPPoEの料金を支払いつづけるのはちょっともったいない気がする。とはいえ、自宅サーバはどうでもいいとして、実家と東京、東京と米国の拠点間VPNは紛れもなくこのネットボランチDNSを使って互いのホストを指定していたので、これが利用できなくなるのはかなりの痛手だ。

IPv6の固定IPを利用できるサービスなどもあるらしいと教えていただいたので、良い方法がないかもう少し色々考えてみたい。いいアイデアがあったら是非教えてください。


  1. 別にINTERLINKのZOOT NATIVEでもよい。こちらは月額1000円(税抜)

  2. 結局今は利用者が少ないから速いだけということなのか?専門家ではないので細かいところは許してくだされ。

  3. うちはVDSLなので100Mbpsで頭打ちになっている。その分安いので不満はない。

  4. YAMAHAが提供するDynamic DNSのようなサービス。これを無料で使わせてもらえるのもYAMAHAルータを使う大きな魅力。