神様も知らないおしりの秘密

せなかポリポリ

さいころ寝るときによく母親が背中を掻いてくれた。これは背中がかゆいから掻いてもらうのではなく、いわばスキンシップの一環だったのだと思う。

妻と新婚時代、寝転がっているときに背中をポリポリしたら「なにこれー!きもちいい〜☺️」と言うのを聞いてむしろ驚いた。親愛の証としての背中ポリポリは普遍的行為ではなかったのだ。

僕は妻にそうしたように、娘にもこの毛づくろい行為としての背中ポリポリを施した。僕が母にそうされたように、娘は背中にたっぷりと父のポリポリを受けて育った。

おしりポリポリ

そのうち娘が「パパー、『おしりポリポリ』して〜」と要求するようになった。おしりポリポリとはなんだろうか、おしり探偵なら知っているかもしれない。 うつ伏せに寝る娘のズボンに手を突っ込んで背中を掻く要領でポリポリしてやると「きもちいい〜☺️」とのこと。正解だった…

以来、娘は夜寝るときに「背中ポリポリ」「おしりポリポリ」「足の指ポリポリもみもみ」の3点セットを必ず要求するようになった。特に母親は「おしりなんて掻かないよっ!」とにべもないので、娘は必ず僕と寝るようにすらなった。

行き過ぎたおしりポリポリ

そのうち娘はリラックスすると公共の場でもいきなり寝転がっておしりをぺろーんと出して「パパおしりポリポリ〜😆」などと言うようになった。これにはさすがにひっくり返りそうになった。4歳児には家の中と外の区別がいつもつくとは限らないのだ。

ひとまず、おしりを人前で出すことは恥ずかしいからやめようということになった。そしたら、「ここはパパしかいないから大丈夫だよね?」とこう来る。困った。少々苦しいが「神様が見ている」ということにした。神様が見ているからお尻を出してはいけない。

ただし例外を設けよう。お布団の中に入っているときだけは神様にも見えない。夜、本を読んで、電気を消して、布団をしっかりかぶって、そのときだけおしりをぺろーんと出してポリポリしてもOKにしよう。それが妥協点だった。娘はおしりにたっぷりと父のポリポリを受けて育つことなった。

神様が見てるーっ!

高熱が出て学校をお休みした火曜日の昼間。娘はパパの書斎のゲストベッドで電気を消して昔話の音声を聞きながら静かに過ごしている。 まだ熱があるので部屋を暖めて布団をかぶらずに寝転がっている。

「…パパー。寂しい。こっちきて」
「…パパー。おしりポリポリして」

僕は笑いながら添い寝してやっておしりをぺろーんと出してポリポリしてやる。

「パパーッ!だめーっ!急いで布団をかけて!神様が見てるーっ!」

そうだったそうだった。でも多分大丈夫だよ、今日も山火事の煙で空は曇ってるからたぶん神様にも見えてない。 ゆっくりやすみなさい。